評論

永遠の美を感じさせる
日本画の繊細な煌めき

星野友利氏は、実在する人やものと自身の心に息づく芸術世界を共鳴させ、他の誰とも違う美の世界を構築する優れた日本画家である。星野氏の作品には、いついかなる時も描き出す対象に対する繊細な心遣いが潜んでおり、彼だけの作法、彼だけの哲学、彼だけの思考に満ちた作品は、いずれも一目で星野氏のものであるとわかる圧倒的なオーラに包まれている。

星野氏は、その鋭い芸術的視点から深められた表現で人々の胸を強く打つ。一見ごく日常的なテーマ――例えば、野の花などがそれである――であっても、星野氏がそれを見、描き出すことでそこには詩が生まれるのだ。彼の表現を通じて、ありふれた日常は極上の芸術へと生まれ変わる。万物のなかから適切なテーマを定め、そこに詩的な側面を与えることが出来るのは本物の画家だけである。
星野氏は、日々我々が目にする物事をありのまま誠実に描き出し、決して過度に飾り立てることなく、生まれたてのものから枯れ老いゆくものまで、生命ひとつひとつの美しさを丁寧に伝えてくれる。すべての生命が辿りゆく道筋を卓越した観察眼でじっくりと捉え、独特のムード、その魅力を深く正しく伝えようと努める星野氏の志は実に素晴らしいものだ。

池、野の花、若い女性など、どれも突飛というよりはむしろ親しみやすいテーマでありながら、それらを至極丁重に扱うことで、星野氏はこの世界に潜む変わらない真実を伝えてくれる。
日本の芸術文化は勿論、ヨーロッパ諸国の素晴らしい芸術遺産についても造詣の深い星野氏は、例えば構図の取り方ひとつをとっても、ある作品はシンメトリーの原則や遠近法を重んじ、またある作品では日本の版画を思い起こさせる構図を取るなど、幅広い表現で鑑賞者を楽しませてくれる。

さらに、星野氏の作品において最も特筆すべきは類まれな色彩表現だろう。星野氏は、自ら思い描いたイメージを具体化するための最適な色を的確に選び出す才能を持った人物に違いない。

常時比較的穏やかな色彩を用い、自然の調和を重んじながら、ひとつの色のなかで様々な表情を見せてくれる星野氏だが、なかでもイエロー、テラコッタなど、暖色の表現には強いこだわりを感じた。これらの色は自然のなかに多く見られる色であり、人々の心に喜び、パワー、調和を与える色でもある。彼の色彩表現を通じて、鑑賞者はこの世の美しさ、自然の雄大さにまつわる重大なヒントを得るに違いない。

星野氏の作品には、魂がある。全ての作品には独特のメロディーやリズムがあり、クラシック音楽にも似た荘厳な美しさが感じられる。
土の上に表れた植物の複雑なシルエットは勿論、根っこ、枯れた枝にまで気を配り、生命そのものの美を巧みに描き出す星野氏。作品を彩る色彩、細やかな線の全てが星野氏の生き様を物語り、そして我々にこの世界の本当の美しさを教えてくれるのである。

エルミタージュ美術館学芸員
アレクセイ・ボゴリュボフ